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しもだて美術館→板谷波山記念館→茨城県陶磁美術館を巡ってきました!

中でも気になったのが板谷波山氏です。
「波山(はざん)」というのは故郷の筑波山に因んだ号だそうです。

(以下親しみと敬意をもって「波山」と書かせていただきます。。)

精緻で美しい彫刻が釉の下に施された陶磁器で有名な波山。
陶芸のコースが無かった当時の東京美術学校では、彫刻科を卒業されています。
そのため、陶芸における師はおらず、独自の作風を極めていったとか。
その彫刻も陶磁もハイクオリティなため、どちらかに長けていても決して真似出来ない!ということだそうです。

同県出身の曲輪造きゅう漆「職人」、伝統を守り抜き、あくまで使うための「もの」を作る大西勲氏とは対照的に、
波山は自らを「芸術家」と称し、陶磁器自体が芸術品として鑑賞されることを目的とした、と聞いていたので、
陶芸ならどちらかと言うとアノニマスな「作り手」派を期待する私は(生意気ですが;)、少し相容れない部分があるかなと思っていた訳です。

しかし、記念館にあった波山自作のテーブルと椅子、蹴ろくろ、窯を見ていて、なんだか波山の生活が感じられるようで、そんな小さな反抗心は吹っ飛んでいってしまいました。
自作のテーブルと椅子ですが、これがなんとも粋な感じで、カッコ良かったです。幅の狭い板をただ並べるのではなく、間に細い竹を挟んで、テーブルの幅を出していたり、
来客には背もたれ付きの椅子を出し、自身が座るのは背もたれ無しの椅子、といった具合であったり、随所に波山のこだわりというか、性格が表れているようでした。
また、「陶芸家」のイメージとしてありがち(?)な「丹精込めて焼成した器に少しでも気に入らないところがあったら…ええいと投げつけて割ってしまう!」というアツい人物像は、波山に由来するそうです。
映画「HAZAN」では、まさにそんな感じだそうな。とはいえ、やはり劇としていささか誇張されたところもあり、実際に波山は仕事にストイックでありながらも、人情に厚い人だったとか。

記念館では、スケッチが展示されていましたが、
毛筆の効果も手伝ってか、何とも力強く独特な魅力がありました。
西洋的な写実とは違いますが、緻密で、しかも日本的な強さをもっている、という感じです。
これは勝手なイメージかもしれませんが、彫塑系の方のデッサンは、彫るように強く空間と物質の感じが出ている、という印象があります。
それに似た力強さかもしれませんね。

さらに所蔵品の中に、鳩の形をした持ち手が印象的な、老人用の杖がありました。
これは波山が作ったもの、ということでしたが、そこには彼の人柄を映すエピソードが。
下館市に住む80歳以上のお年寄り一人ひとりに、この自作の杖を贈ったそうです。その総数なんと319本!
しかも、杖よりもお米を必要としている場合は、その杖を他の人に売ってお金にすることを快く許可したといいます。
また、同様に戦没者の遺族のもとへ一件一件訪れ白磁香炉や観音像を手渡したという話も残っています。

芸術家、作家一人についても、まだまだ知らないことがたくさんあります。人の一生ですから、それはそうだとも言えますが…。
その人の生きた時代、見てきたもの、考えたことに思いを馳せ、そこから現在を見てみても面白いかもしれませんね。

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