忍者ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

しもだて美術館→板谷波山記念館→茨城県陶磁美術館を巡ってきました!

中でも気になったのが板谷波山氏です。
「波山(はざん)」というのは故郷の筑波山に因んだ号だそうです。

(以下親しみと敬意をもって「波山」と書かせていただきます。。)

精緻で美しい彫刻が釉の下に施された陶磁器で有名な波山。
陶芸のコースが無かった当時の東京美術学校では、彫刻科を卒業されています。
そのため、陶芸における師はおらず、独自の作風を極めていったとか。
その彫刻も陶磁もハイクオリティなため、どちらかに長けていても決して真似出来ない!ということだそうです。

同県出身の曲輪造きゅう漆「職人」、伝統を守り抜き、あくまで使うための「もの」を作る大西勲氏とは対照的に、
波山は自らを「芸術家」と称し、陶磁器自体が芸術品として鑑賞されることを目的とした、と聞いていたので、
陶芸ならどちらかと言うとアノニマスな「作り手」派を期待する私は(生意気ですが;)、少し相容れない部分があるかなと思っていた訳です。

しかし、記念館にあった波山自作のテーブルと椅子、蹴ろくろ、窯を見ていて、なんだか波山の生活が感じられるようで、そんな小さな反抗心は吹っ飛んでいってしまいました。
自作のテーブルと椅子ですが、これがなんとも粋な感じで、カッコ良かったです。幅の狭い板をただ並べるのではなく、間に細い竹を挟んで、テーブルの幅を出していたり、
来客には背もたれ付きの椅子を出し、自身が座るのは背もたれ無しの椅子、といった具合であったり、随所に波山のこだわりというか、性格が表れているようでした。
また、「陶芸家」のイメージとしてありがち(?)な「丹精込めて焼成した器に少しでも気に入らないところがあったら…ええいと投げつけて割ってしまう!」というアツい人物像は、波山に由来するそうです。
映画「HAZAN」では、まさにそんな感じだそうな。とはいえ、やはり劇としていささか誇張されたところもあり、実際に波山は仕事にストイックでありながらも、人情に厚い人だったとか。

記念館では、スケッチが展示されていましたが、
毛筆の効果も手伝ってか、何とも力強く独特な魅力がありました。
西洋的な写実とは違いますが、緻密で、しかも日本的な強さをもっている、という感じです。
これは勝手なイメージかもしれませんが、彫塑系の方のデッサンは、彫るように強く空間と物質の感じが出ている、という印象があります。
それに似た力強さかもしれませんね。

さらに所蔵品の中に、鳩の形をした持ち手が印象的な、老人用の杖がありました。
これは波山が作ったもの、ということでしたが、そこには彼の人柄を映すエピソードが。
下館市に住む80歳以上のお年寄り一人ひとりに、この自作の杖を贈ったそうです。その総数なんと319本!
しかも、杖よりもお米を必要としている場合は、その杖を他の人に売ってお金にすることを快く許可したといいます。
また、同様に戦没者の遺族のもとへ一件一件訪れ白磁香炉や観音像を手渡したという話も残っています。

芸術家、作家一人についても、まだまだ知らないことがたくさんあります。人の一生ですから、それはそうだとも言えますが…。
その人の生きた時代、見てきたもの、考えたことに思いを馳せ、そこから現在を見てみても面白いかもしれませんね。

拍手[3回]

PR
UD
多くの方が「ユニバーサルデザイン」という言葉と、どこかで出会ったことがおありかと思います。
デザイン専攻以外の方とお話ししていても簡単に挙げられるほど、浸透している言葉です。
しかし、それが本物のニュアンスで語られることは、残念ながらやはりまだまだ少ないと思います。
正直に申しますと、私も蓮見教授の「ユニバーサルデザイン論」を受講するまでは、大いに迷走し、誤解していました。
例えば(極論ですが)ものづくりはもともと個人が個人のために(いわばオーダーメイドで)行われていたので、そういう風に、ある個人にとって使いやすいものを逐一作りさえすれば、それで済むのではないか、こんなことを考えなくてはならないのは、大量生産の構造が生み出した副作用ではないか、と思っていました。勿論、公共の施設などはそうはいきませんが…
やはり「誰にでも使いやすい」ということで、障害者や、子供、高齢者に重点を置いた見方をしてしまいがちです。
しかし、障害者・子供・高齢者「向け(専用)」の製品だと、その他の方々の生活にはマッチしません。使いたいと思えない「壁」があるようでは、ユニバーサルとは言えません。変に「特別」なものであってはいけないのです。

今日、NHKの番組にて「生みだせ!ユニバーサルデザイン」という特集が放送されました。
そこでご活躍されていたのが、我らが誇り、K先輩です!
(K先輩は、従来の概念を払拭した、手が塞がらない新しいカタチの松葉杖を修了制作に、昨年、筑波大学の大学院をご卒業されました。数々の試作・考察から、新たなシステムを生み出す…本当に敬服です!)
<参考>
http://www.kansei.tsukuba.ac.jp/~design/2010/?p=182

実際に障害者の方と生活を共にし、日常の些細なことから問題点を見つけ、解決していくというプロセスは、大変ためになりそうでした。
やはりデザインは人々の生活に深く関わるべきものですから、
日常の生活における観察がいかに大切か、改めて身に染みました…。

拍手[2回]

|  HOME  |
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
[01/26 久美]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
Misa IKEDA
HP:
性別:
女性
自己紹介:
筑波大学芸術専門学群
デザイン専攻
プロダクトデザイン領域
バーコード
ブログ内検索

Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]